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 私は今、猛烈に迷っている。それはもう、今まで生きてきた中で一番と言ってもいいくらいに。だからといって二番目は何かと聞かれても、答えられないのだけれど。  私の両脇には、まだ何も知らない小町と朝ちゃんが、楽しげに笑い合っている。これを言ったらどうなることか、考えただけで恐ろしい。  言うべきか、言わざるべきか。三分くらい迷いに迷って、私はこの「真実」を二人に告げることにした。だって、友達だから。きっと二人なら私の話に耳を傾け、そして許してくれるはずだ。 「ねぇ、小町、朝ちゃん……」  小さな声になってしまった。 「どうしたの? やっちゃん」 「やっちゃん、どォしたのー?」  二人は手を止め、私の様子がいつもと違うことを察して、心配そうな眼差しでこちらを見つめる。……言わなくては。さっき言うと決めたじゃないか。言え、言うんだ八重子!  ごくりと喉がなる。制服の下を、汗が滴った。私の震える手元には、白いふわふわのホイップクリーム。台の上には今回の犯人が堂々と鎮座していた。こいつのせいで、私はやらかしてしまったのだ。  私は息を吸うと、ゆっくりと口を開いた。 「砂糖と塩間違えちゃった……!」  
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