眠りのなかで

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 *  ピシリ。  また、あの音がする。  私は気づいてしまった。  その音がどこからするのか。  あれは家鳴りじゃない。  鳴ってるのは、私の体だ。  古い家がきしむように、古い体がひずんで音を立てる。  ピシリ。キシリ。  幻聴が私を呼ぶ。 「輝男や。おまえも、おいで」 「そうだよ。あと一回、眠ればいいんだよ」 「寝る子は育つって言うだろ?」 「次に目がさめたときには、おまえも……」  死んだはずの家族が、ニヤニヤ笑いながら手招きしている。  いやだ。眠りたくない。  眠れば、私はどうなってしまうんだ?  ピシピシと、体がきしむ。  何かが、そこから出たがっているかのように……。  了
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