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成宮さんの声で意識が海の底から急浮上する。
こっち向いて、って言われたけど彼の顔は見ていた。
一瞬意識だけ逸れたのが分かったんだろう。
「どうした?」
「何でもないです。相変わらず成宮さんは格好いいなって思ってただけですよ」
するりと彼の頬を撫でる。
「へぇ。そんなこと考えてられるくらいにはまだ余裕ってこと?」
「え、あ、いや余裕とかでは」
「何も考えられないくらいにしてやるから」
成宮さんは、私の気持ちに気づいているのかもしれない。
この不安すら全部受け入れて、大丈夫だとでもいうように抱きしめられた。
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