【番外編 キャロル】

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「観覧車なんて乗ったの中学生以来です」 「定番だけど意外と乗らないよな」 「どんどん高くなっていきますね」 窓の外を見下ろすと、さっきまで自分たちがいたところが米粒ほどの大きさになっている。 「あ、あれ一番最初に乗ったジェットコースターじゃん」 「この時間帯だと、少しコースが変わるらしいですよ」 「まじ?見える景色も変わるだろうし、面白いなそれ」 ほかにも乗ったアトラクションを見つけては、上から見るとこうなっているのだと発見しながら楽しむ。 「もうすぐ頂上っぽいですね。写真撮っておこう」 スマホを取り出して、宝石のように輝く景色を何枚も保存していく。 「わぁー、ほんっと綺麗」 橙色が地平線に沈み、夜が世界を包み込んでいく瞬間を。 この角度から、次はこっち。 そうやって夢中で撮っていたら。
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