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「和花菜」
「えっ」
スマホを持っている手を、くいっと引っ張られる。
「ね、俺のことも見て」
お互いの息遣いが、分かる。
「外の景色も綺麗だけどさ。スマホの画面ばっか見ていないで、こっちも見ろよ」
「……っ、る、みやさ」
ああ、この目は知ってる。
「んっ!」
柔らかい唇、ついで熱い舌が私のそれを絡めとる。
「……わ、かな」
狭い室内に、湿った成宮さんの声が反響した。
「ふ、っん……!」
息が苦しい、でもこの苦しさは嫌じゃない。淫らな水音に、耳も犯される。
そして不意に熱い体温と唇が離れていった。
「どうしたら和花菜の意識がこっちに向か考えて、やってみたけど」
正解だったな、なんて。
不敵に笑う彼に私は白旗をあげるしかない。
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