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「……、え、え?!」
パッと照明が消えたと思ったら、視界の端に淡いオレンジが映り込む。
それは、ロウソクの光で輝く誕生日ケーキだったのだ。
店員さんに合わせて周りの人もバースデーソングを口ずさんでくれる。
そして。
「誕生日おめでとう、和花菜」
「……っ!」
成宮さんが、テーブルのうえで手を握ってくれた。
「本日はお客様の誕生日です!皆様拍手をお願いいたします!」
照明が元に戻り、あたたかい拍手が鳴り響く。
「た、誕生日」
「今日は和花菜の誕生日だろ」
「……そうだった」
「もしかして忘れてた?」
「だって、仕事立て込んでて、しかも成宮さんと遊園地に行けるってだけで頭がいっぱいで」
今日が『自分の誕生日』というよりは『成宮さんとふたりでデート出来る日』だったから。
「サプライズ。和花菜が喜んでくれればって、おも……お前泣いてる?」
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