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「成宮さん、誕生日サプライズ、ありがとうございます。好きです」
「素直でよろしい」
「な、るみやさんの、誕生日、楽しみにしててくださいね」
「泣きながら言うなよ。お前の涙底なしか」
このどうしようもなく崩壊した涙腺、は私の言うことを聞いてくれないらしい。
また涙が滝のように流れてとまらない。
けれどそれを、何度も優しい手つきで拭ってくれる人がいる。
バカだなぁ、って呆れながらも受け止めてくれる愛おしい人がいる。
「ほら、ケーキ食べよう」
「た、食べます」
愛する人が食べさせてくれたケーキは、涙の味がした。
次は、ちゃんとケーキ本来の味を楽しもう。
そう決めて、ふたくちめを食べた。
---------------そしてその夜、観覧車の中での宣言通り、ひたすら甘くて熱い時間を過ごしたのだった。
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