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「私もそう思いました、そんな人なら私を大事にしてくれるかなって思ったんです」
私は頷きました、彼女も嬉しそうに微笑みます。
「だから、このお年玉で買われてあげたんです。でもずっと手をつけずに財布にしまいこんでました、いつか彼の為に遣いたいと思っていたんです。何がいいのかずっと悩んでいましたけど、一生大事にしたくなるくらい、こだわりのあるスーツを買おうと思ったの」
「そうでしたか」
そんな素敵なお話に、私は少し鼻が高くなりました。
だって、その一端を私に託してくださったのです。
「精魂込めてお作り致します」
「ありがとうございます」
女性の輝く笑顔がとても眩しかったです。
そして、今。
安らかな寝顔に、なんだかこちらまで眠気を催してしまいます。
心持ち微笑んでいるようにも見えるお二人の寝顔。
きっと、きっと。
この先もお二人は、手に手を取って、末永くお幸せに暮らすだろうと予感させてくれます。
そのお手伝いを、私が仕立てた服ができたら嬉しいです。
「──もう少しお二人に寝ていてもらいましょうか。ゆっくり大野様のものを進めましょう」
「そうね、そうしてもらえると助かるわ」
大野様も私の意見に賛同してくださったようです。
だってお二人の眠りを妨げたら、バチが当たりそうですからね。
終
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