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「ほう。紅梅は、産まれた時は大きかったのか?」
信志は、自分の印を書きながら、忠仁に問いかける。
「はい。それはそれは大きくて、初めは男の子かと間違えました。」
すると紅梅は、軽く咳ばらいをする。
「ああ、どんな美しい姫に、育つのだろうなぁ。」
忠仁は、明梅をあやしながら、紅梅に背中を向けた。
「よし。全部書けたぞ、忠仁。」
信志が忠仁に声を掛けても、忠仁は初孫に夢中だ。
遂には、紅梅の雷が下った。
「もう!父上も王も、いい加減になさって下さい!!」
忠仁から赤子を受け取り、紅梅は自分の屋敷へと、戻って行った。
「はぁ……明日まで、もう会えぬのか。」
信志は、大きなため息をつく。
「子を産んだお妃は、産後1か月間、王の訪問は叶いませんからね。」
忠仁も、遠目で明梅の姿を追っている。
「しかし、我が娘ながら、母は強いですな。」
「忠仁には申し訳ないが、紅梅は母になる前から、強かった。」
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