第15章 子を成す意味

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「ううん。」 黄杏は一度目を閉じた。 「そうね。どちらが先に男の御子を産んでも、恨みっこなしね。」 「そうよ。」 黄杏と紅梅は、手を取りあった。 「どんな名前が、つけられるのかしら。」 「きっと、王と同じような名前が、つけられるわよ。」 二人は一緒に、空を眺めた。 「どちらにしても、王にとっては、初めての御子なのね。」 「そうだわ。やっと王も、お父上になられるのね。」 それが自分の手で叶えられるとなると、紅梅も黄杏も、誇らしく感じられた。 「無事に生まれる事を、願っています。」 黄杏は、紅梅に一礼をした。 「私も。願わくば、皇子が産まれる事を。」 「まあ。紅梅さんったら。」 それから、1か月した後。 紅梅は産気づき、屋敷の中に産婆が駆け付けた。 だが、2日経っても生まれない。 業を煮やした信志は、紅梅の屋敷を訪れた。 「まだ生まれないのか!」
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