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コウジは美容室への就職が決まり、働き始めた。コウジの店の定休日には私も休める時は学校を休んでデートした。
あれ以来、コウジは妊娠や、中絶のことには一切触れず、本当に一からやり直してくれているようで嬉しかった。
だから、もっとコウジと一緒にいたくなった。
いよいよ、就職先探しが始まった。パソコンも持っていなかったので、企業情報誌を読んで、電話をして面接してもらった。受けた会社の数は周りに比べれば10分の1程で全て外食産業。こういう仕事がしたいからとかは全くなかった。本当は化粧品会社で働きたかった。元々、化粧品が好きだったのもあるし、美容関係の仕事をしているコウジに影響されたのもあった。だが、美容関係の仕事、特に私がしたい販売員など大学を出てまでする仕事じゃないと絶対親には理解してもらえないだろうし、不規則な仕事を選ばないと実家から出れない、やりたいことはあとからでもいくらでもできるという考えで飲食を選んだ。
面接はトントンと進み、当時四大卒の女子の雇用を進めていた企業側は喜んで採用してくれた。もちろん会社名義のワンルームマンション付きで。
「やったぁー、これであの家から解放される」
その時はこの気持ちでいっぱいだった。
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