本当に欲しかったもの

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毎日、理不尽なことで怒られたり、やっぱりやりたい仕事を選ばなかった分この仕事を辞めたいと思うのは早く、就職してたったの１０ヶ月で退職願を出した。仕事を辞めるということはもちろんマンションからも出なければならず、前から相談していたコウジとの同棲を始めるのは自然な流れだった。

仕事を辞めることも同棲することも実家には内緒で。

一緒に暮らすと決めたものの、仕事を探さなくてはいけない
。やっぱりやりたいこと、美容の仕事をしたい。
大学生の時に知り合った美容部員をしている方が外資系ブランドの販売員の募集があると教えてくれたので、受けてみようかとコウジに相談をした。すると、「そのうち結婚するから正社員では働いてほしくない、近場でアルバイトでもしていてほしい」と。こんなに思われているんだと嬉しくなり、簡単にその場はその言葉を受け取ってしまった。とはいっても、コウジはまだ下っ端の美容師で給料はかなり少ない。初めは私の働いていた時の蓄えがあったが、すぐにでもアルバイトを探さなくてはいけなかった。美容師は服装にも気を遣わなければならず、その頃から二人共がクレジットカードを頻繁に使うようになったのだ。

仕事を辞めてから２ヶ月程経った頃、ようやくアルバイトが決まった。家から近くの携帯電話ショップでの販売員。女性ばかりの職場で不安はあったし、覚えることもたくさんあったが
、週休２日ですぐに職場の人とも仲良くなれた。