憧れの二人

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憧れの二人

「ふああっ、だりーし、あちぃ!!」 思い切り伸びをして、あくびをかます昼休み。 セミは鳴きまくり、日差しはガンガンに俺たちを照りつける。 夏だ。紛れもない夏。 「何だよヤスタカ。オールか?」 俺を横目で見ながらショウが呟く。 「聞くか?一年のナミと昨日さぁ」 「あ。待て。もういい、やめろ!」 そう言って俺の話を遮った。 「羨ましいか?」 ニヤニヤしながらそう聞くとあっさりとそれを認める。 「ああ。羨ましいね!何でそんなに色んな女とやれんだよ?」 いい質問だ。 「うざがられない程度に、マメに連絡することかな?すると何か知らねぇけど、誘いに乗ってくれる事があるんだよ。名付けて『数撃ちゃ当たる戦法』」 「ネーミングセンス無ぇなーーー」 「うるせぇ!童貞野郎にわかってたまるかよ」 「おめーなぁ!」 「おわわっ」 ヘッドロック。 まぁこれくらい掛けられてやるか。 「お前ら相変わらずだな。暑苦しいから離れろ!」 そう声を掛けてきたのはバスケ部のキャプテン、蒼井先輩だった。 そしてその横には─── 先輩の彼女、城崎美香。 真夏だと言うのに涼し気なたたずまい。 キレイに切り添えられた前髪と艷やかな黒髪ストレートが日差しに反射して光を放っている。     
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