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今、俺の目の前には美香先輩がいる。
そっとキスをしてベッドに押し倒す。
抱きしめると、ぬくもりが伝わってくる。
息づかいが荒くなっていく。
だんだん紅潮していく顔。
濡れていく体。
俺は美香先輩の全身をくまなく愛撫する。
そして心の中で何度も叫ぶ。
好き、好きです、美香先輩───。
でも俺、本当にしたいのはこんな事じゃないんです。
この間の夢の内容を思い出す。
普通に映画見たり、ファミレス行ったり、遊園地行ったり。
俺の体は受け入れられてるけど、俺の心はいらないんだな。
真面目に好きだとか言ってもきっとウザがられるだけだ。
ならせめて、美香先輩の望む快楽を提供する。
俺ができる方法で愛す。
そして絶頂に達した瞬間、俺は泣きそうな気持ちになっていた。
結局、美香先輩が卒業する三月まで関係は続いて、それから連絡は一切ない。
俺からするつもりもない。
わかるのは蒼井先輩と同じ大学に進学したという事ぐらいだった。
そして俺は、俺のままだった。
誰にも本気になれず、たまに純粋に好意を寄せてくれそうなコは現れるも、それを遠ざけた。
※
三年になっても、バスケ部は冬の大会までは引退しない。
今年の夏休みもまた練習に明け暮れる。
「あちぃーーー」
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