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「今だから言うけど、私、ヤスタカくんの事好きだったの。っていうか、今でも好き」
「え……」
「でも、良一の事も好きなの。ちょっと面倒なところもあるけど、人生を共にするべき相手は良一だと思ってる」
俺は何を聞かされてる?
質問の答えが返ってこない。
そもそも今さら好きって言われても。
「お、俺だって、好きです。今でも!」
触発されるように思わず告白してしまった。
うわ、俺キモい。ダサすぎる。
それこそ今さら言ってどうするんだよ。
「ヤスタカ君の子だよ」
「え?」
「覚えてるよね?最後の日」
「……はい」
もちろん覚えてる。
もうこれで終わりにしようと。
だから最後はって。
俺は、美香先輩に言われるがままに、そのまま。
「もう!全部顔に出てるよ?」
そう言ってクスクス笑い出す。
「えっ。え?」
何がおかしいのかわからない。
「ヤスタカ君てチャラそうに見えて根は真面目なんだよね。まぁそこが好きなんだけど」
「もう全部教えて下さい!お、俺の子って、蒼井先輩とはどうするんですか?!」
「良一とは結婚する。自分の子だと思ってるみたいだし。まぁ、良一とも数週間ずれで同じようにしてたしね。でも計算したら、ヤスタカ君。」
「そんな……」
「何も心配しなくていいのよ。私が望んだ事なの」
諭すような口調だった。
子供に言い聞かせるように。
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