憧れの二人

14/16
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「今だから言うけど、私、ヤスタカくんの事好きだったの。っていうか、今でも好き」 「え……」 「でも、良一の事も好きなの。ちょっと面倒なところもあるけど、人生を共にするべき相手は良一だと思ってる」 俺は何を聞かされてる? 質問の答えが返ってこない。 そもそも今さら好きって言われても。 「お、俺だって、好きです。今でも!」 触発されるように思わず告白してしまった。 うわ、俺キモい。ダサすぎる。 それこそ今さら言ってどうするんだよ。 「ヤスタカ君の子だよ」 「え?」 「覚えてるよね?最後の日」 「……はい」 もちろん覚えてる。 もうこれで終わりにしようと。 だから最後はって。 俺は、美香先輩に言われるがままに、そのまま。 「もう!全部顔に出てるよ?」 そう言ってクスクス笑い出す。 「えっ。え?」 何がおかしいのかわからない。 「ヤスタカ君てチャラそうに見えて根は真面目なんだよね。まぁそこが好きなんだけど」 「もう全部教えて下さい!お、俺の子って、蒼井先輩とはどうするんですか?!」 「良一とは結婚する。自分の子だと思ってるみたいだし。まぁ、良一とも数週間ずれで同じようにしてたしね。でも計算したら、ヤスタカ君。」 「そんな……」 「何も心配しなくていいのよ。私が望んだ事なの」 諭すような口調だった。 子供に言い聞かせるように。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!