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見透かされているとわかっていながら曖昧な返事をしてしまう。
すると、美香先輩は俺が今までセックスした女の名を次々と挙げ出した。
「で、一番最近はナミ。合ってる?」
「……はい」
まるで尋問。
ていうか、何かいつもと違くないですか?
そう。あの清楚で控えめな感じは?
こんな事聞くような人じゃありませんでしたよね?
そんな疑問が頭を駆け巡る。
「大丈夫。みんなよかったって言ってたよ?」
「え……?」
怒ってはいないようだけど怖い。なんか怖い。
まるで別人のようだ。
身につけている白のワンピースは、いつものイメージそのものといった感じだけど、それがまたギャップを生んで、俺を混乱させていた。
先輩の顔が、近づいてくる。
耳のすぐそばまで。
「ヤスタカ君としたらすっごく楽しそうだね」
聞き間違いじゃ、ない。
囁き声だったけど、はっきりそう言った。
俺の手の甲に、先輩の白い手が重なる。
これは。
誘われている。
明らかに。
唾を飲み込んだ。喉が鳴る。
もしかして、蒼井先輩と別れたのか?
「蒼井先輩とは別れたんですか……?」
おずおずとそう聞くと、急にシラけた表情になっていく。
「ううん。別れてないよ。でもね。良一はダメ。全然よくないの。顔と性格はいいんだけどね」
「じゃこれから別れるんですか?」
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