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「別れるなんて言い出したら、あの人ショックで死んじゃうかもね。ってゆうか、良一の事好きだし別れるつもりないんだけど」
「じゃあ何で俺と。バレたらどうするんですか」
「体だけの関係なら浮気じゃないんだって。心が動かなきゃそれは浮気じゃない。良一はそんな風に言ってた。だから大丈夫なの」
頭がクラクラする。
つまり俺のこと好きじゃないけど、できるって事?
「あなただって同じでしょ?色んな女の子と。彼氏いるコともしてたくせに」
「俺は男だから。って言うか先輩は女で、そういう事して大丈夫なのかなって。……それに」
ああ、俺は何つまんない事言ってる?ここまで言ってその後の言葉が出てこない。
「それに?」
美香先輩は、他の女とは違う。
憧れの、俺なんかが手を触れちゃいけないような存在だ。
「お、俺にも選ぶ権利があります。先輩とはできません。タイプじゃないっすから!」
バスが停まる。
俺は終点を待たず、美香先輩の手を振りほどいて、降車扉へと向かう。
足早に駅方向へと歩く。
そして次第に冷静さを取り戻した俺は猛省する。
「タイプじゃないからできない」とかバカか!!
もっと気の利いた断り方なかったのかよ!
結局俺はその後、部活で蒼井先輩と会うたびに美香先輩の事を思い出してしまい、何もなかったとはいえ申し訳ない気持ちで一杯になった。
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