憧れの二人

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そして、当日。 予想通り美香先輩は姿を現し、見事にうちのチームは勝利をおさめ、大会出場権を手にする事ができた。 打ち上げ会場のカラオケでは、みんな喜びに酔いしれながらハイテンションで歌いまくっている。 いつもなら俺もそこに加わるはずだけど、一曲だけにとどめて、後はひたすらタイミングを伺っていた。 『打ち上げの後、二人で話がしたいです』 ダメ元でLINEを送った。 とりあえずブロックの刑には処されていなかったらしく、メッセージの左上には既読のマークが記される。 そうして俺は一足先にみんなと別れ、待ち合わせ場所に指定したカフェへと急いだ。 こんなにも誰かを待ち焦がれているなんて初めての経験だ。 俺は今までこういう事全部すっ飛ばして、女と遊びまくってたんだな。 本当に好きな女と寝た事なんて一度もない。 そして、本気で好きと言われた経験もなかった。 類は友を呼ぶってやつ。 どのくらい時間が経ったのかわからない。 今頃蒼井先輩と一緒にいるのかな。 普通に考えたらそうだよな。 返信も来ないまま時間が過ぎて行く。 だんだん弱気になってきて、これ以上待っても無意味なんじゃないかと思い始める。     
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