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その時、LINEの通知音が鳴り響いて、慌ててスマホに目をやる。
『今どこにいる?遊ぼうよ』
ため息が漏れた。
もういいや。
以前の俺に戻るのは簡単で『OK』と返信し、一年のナミと会う約束をして、カフェを後にした。
何でだ。大して会いたくもない女とはすぐ会える。
駅前に着くと、ナミは小走りに近づいてきた。
腕をからめて「ひさしぶりぃ~」と媚びた声を出す。
会えばスイッチが切り替わると思ってたけど期待外れだった。
気乗りしない態度に気づいたのか、ナミは心配そうに声をかけてくる。
「どうしたの?最近何回連絡してもスルーだったからさ。体調でも悪かったの?」
「まぁね」
そういや、何ヶ月か前にダイエットするとか言ってたよなこいつ。
見た限り変化ないって事は口だけだったって事か。
中途半端なのは俺と同じだな。
でもやっぱ、似た者同士でいるのが一番なのかも。
「あっ」
突然ナミが声を上げる。
「何だよ?」
「あれ美香先輩じゃない?」
「え?」
指された方向を見ると、確かに、そこにいた。
向かっている先は、もしかして俺が待ち合わせに指定したカフェか?
そう考えてもおかしくない方向へ歩いていた。
「ヤスタカ?」
ナミが不思議そうな顔で俺を見つめて来る。
ヤバい。このままじゃ見失う。
「ごめん、やっぱ今日無理」
「え?」
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