0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
無味乾燥で足早に過ぎ去ってゆく私の毎日、そして青春。
友人達はみんなそれぞれの進学先や就職先という目標を掲げ、日夜努力の日々に勤しむ。
不透明不明瞭不明確。それが私の学校生活で人生そのもの。どうしてみんなそんなに前に向かって歩いていけるのか、疑問でならない。
細くと不機嫌そうな瞳。
もごもごと何か呪文のような言葉を繰り出す口。
無愛想な顔。
これが今の私。
「愛由香ってさぁ、動物で例えるとナマケモノかカピバラみたいだよねぇ」
友人は大体私のことをそう評する。別に怒りや憤りといった感情は湧いたりしない。
ただナマケモノやカピバラに対して、私と比べるなんて失礼だとは思う。
ナマケモノは一日のほとんどを木にぶら下がって過ごす。それってどんなに大変なことだろうか。腕がパンパンになってしまう。私にはそんな真似できない。
カピバラだって、ゆったりしているようで実は物凄く速く走ることができる。私なんかでは追いつけないほどに。
だからこそ、変わってるとも言われるけど。
気がつけば、蝉の鳴き声は以前より少し静かになった気がする。
今はもう高校最後の夏休みも終わり九月。さすがの私もさすがに焦りを感じる。
今になって感じるが、高校三年の半分が進路決定の折り返し地点でなく、本当の折り返し地点は小学校卒業時にはもう過ぎてるんじゃないかと思う。
ぼんやりと私だけが馴染み深いはずの教室に取り残される。
私だけが世界に弾かれているような気がする。
私にしかない世界など、あるのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!