第1日 椿 愛由香

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何とも息苦しい。こんな家で十七年も生活してきた自分を褒めたくなるくらいだ。 母とはもう数ヶ月は言葉を交わしていなかった。確かな記憶として残っているのは、元日に「あけましておめでとう」と言ったこと。となると、母とは数ヶ月どころか半年は言葉を交わしてないことに驚いたりはしない。むしろその事実に驚かない自分に驚く。 しかし、母と私の仲が不穏なのと、私の将来設計が白紙なのは関係が無く、言い訳にすることはできないのは理解していた。 落ち着いて考えてみれば、母は私の将来を不安に思ったのではないのだろう。 不仲とはいえ親子は親子。私の学費やら生活費やらは母が出所だ。感謝だけはしているつもりだ。 きっと母は不安に思ったのだろう。 私がニートになるとか、大学に行かせてほしいとか、そんなことになることを。 きっと母は、そんな未来を不安に思うんだ。
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