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「あのジジイは!死んだ!お前らを守る為に!」
「何…あなた、私達に何が言いたいの?!」
私は、彼に怒鳴ってしまった。
「あのジジイはなッ!お前らによ!生きて貰いたい!そう思ったから庇ったんだよ!なのに……なのに…!お前らはっ!!」
彼は必死に訴える。
「兎に角、目の前に居る敵を退散する。」
彼は短剣を手に、再びシャグランに立ちはだかる。
「そこかッ!」
紫色の剣の軌跡と共に、彼の右肩から赤い物が飛び散った。
「ぐっ……」
彼は、肩を抑え、詠唱を始めた。
「対象移動魔法【テレポート】
_生き残れよ。我が弟。」
「はあッ!はあッ!」
シャグランは血を吐き出しながら息を荒げて言う。
「ハァッ…ハァッ…次は確実に殺す!」
それを言い残し、彼は姿をコウモリに変え、飛び去った。
青髪の青年は、草むらに倒れ込んだ。
「取り合えず……あいつらは無事か…?」
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「ここはどこだ…?」
現状を説明する。俺達は「シャグラン」の襲撃によりマラスを失った。
更に、誰だかは知らんが青髪の青年が自分の身を挺して俺達を救ってくれた。
しかし、飛ばされた先がまさか草原の真ん中とは…
「取り合えず民家を探そっか…」
彼女は草原を歩き始めた。
俺もそれを追って進む。
マラスの魔法により火傷を負ったようだ。
道理で背中がヒリヒリしたものだ。
「ん?あれはなんだ?」
巨大な青い山が俺達の前に現れた。
地響きが聞こえるが……大丈夫なのか?
「山…こんな所に一つだけポツンと…か…不自然ね。」
「あぁ…」
ゴゴゴゴゴゴ…
音は次第に小さくなり、
ゴゴゴゴゴゴ…ガァォ…
山が…動き出した…。
いや、あれは山なんかじゃない__
「「ドラゴン!!」」
目の前の竜は鼓膜が破れる程巨大な雄叫びを上げ、こちらに突っ込んで来た。
「うおっ?!」
どうにか回避。
動きは鈍いと思ったが…
今度は口を大きく開く。
まるで山すらも飲み込んでしまいそうな口から、炎が吹き出た。
「っ!」
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