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「魔物が…街に?!…おかしい!結界によって守られている筈…!」
マラスはそう言うと、[天地創造の杖・炎]を装備し、外へと向かった。
俺達もそれを追い、外に出ると、既に殆どの民家が灰となっていた。
「業火【インフェルノ】神々の怒りに焼かれろ!」
マラスの本気の魔法は、周囲のレンガを溶かす程の火力だ。
殆どの魔物が崩れ落ちた時、テンポの遅い拍手と共に、人型の魔物が現れた。
「マラス…30年ぶりだな…」
漆黒のローブを見にまとった彼はマラスを睨みながら続ける。
「貴様に焼かれて30年。私は地獄から脱獄する事に成功した…更にッ!炎属性の耐性も身に付けたのだッ!」
マラスは彼に負けぬ程の気迫と共に、彼に向かって返す。
「黙れェイ!耐性すらも破壊する業火!お前など一瞬で塵と化すだろう!」
「申し遅れた。我が名はシャグラン。吸血鬼の末裔だ。」
名乗りあげると、剣を手に、マラスに襲いかかった。
「地獄を焼く聖なる炎[ジャッジメント・フレア]」
巨大な火球が吸血鬼を襲う。
「チィッ!」
シャグランもそれを避け、詠唱を始めた。
「影より返り血を浴びる優越感[シャドウキル]」
マラスのローブが切り刻まれる。
マラスにも微少だがダメージを負った。
「はぁ…はぁ…そろそろ降参しないのか…?」
「こちらの台詞だ。マラス。老いたな。」
「黙れッ![ストーム]」
炎の竜巻に飲み込まれるシャグラン。
しかし彼は覇気によりその竜巻をねじ曲げた。
「効かぬわッ!」
瞬間、吸血鬼の指から発される光が、竜夜とマナを襲った。
「っ!!」
「…?無事…なのか…?!」
しかし、そこには腹が赤く染まったマラスが立っていた。
「無事…だったようだな…」
「マラス…あなた!」
マナが必死に回復魔法[メガヒール]を唱える。しかし致命傷のようで、彼の身体には全く通通しなかった。
「あ…ああ…ああ…」
遂には俺達は地に膝を付いてしまった。
「逃げろ」
突然聞こえた声。
それと共に、シャグランの肩から青い液体が流れた。
「がはっ……」
肩を抑え、周囲を見渡したシャグラン。
「吸血鬼さんよ、第六感については弱いんだな。」
突然、青髪の青年が、短剣によりシャグランを切り裂いていた。
シャグランはもがき苦しむ。
「この隙に逃げろ!」
青年は叫ぶ。しかし私達はそんな状況じゃない…
「悲しんでたって誰も報われ無い。」
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