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「いや、流石に急すぎないか?」
「じゃあ、ちょっと家に来ない?」
「おいおい、いきなり同棲か?」
「同棲とまではいかないけど、私の家でお話したいなって。」
「…それならいいか。」
うん、既成事実だけは作らないようにしなければな。
道中で聞いた話だが、彼女は高校卒業と同時にここへ戻ってきたらしい。
理由は…まぁ、想像がつくのでそこはいいとして。
現在俺と同じくマンション暮らしで427号室。
居た河川敷から徒歩10分ほどの距離。
部屋に通された俺はリビングの椅子に座る。
女性らしさがないモノトーン色の間取り、それがかえっていい感じになっている。
華はコーヒーが入ったコップを出し、テーブルを挟んで俺の目の前に座った。
…かと思えば、
「それで、今は何の仕事しているの?」
いきなり話を進めてきた、お前は母親か。
「今?今は営業職だよ。近い将来退職するかもね。」
「へー、なんで?」
「先月親父が倒れたんだよ、脳梗塞でさ。一命は取り留めたんだけど、後遺症が残るかもしれないって言われたんだ。介護しなきゃならなくなるかもしれない。」
「しないっていう選択肢は無いの?」
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