不妊

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ガチッとノブが途中で止まる。 鍵がかかっているのを確かめて、スラックスのポケットからスマホを取り出した。 和田のスマホに電話にかけると、室内からコール音が小さく聞こえた。 (……中にいるのか?) 管理会社に連絡して、室内を確認すべきだろうか。 でも、もしそれで、死体の第一発見者になったら、と、内心怯んでいると、 「……中山?」 酒焼けして、掠れたような声が俺の名前を呼んだ。 ビクリと振り返る。 そこには、薄汚れたスエット姿の和田がコンビニの袋を持って立っていて、俺はかなりホッとしながら、彼に歩み寄った。 「よかった。連絡がつかないから心配してたんだ」 「死んでるとでも思ったか?」 ハッと鼻で笑いながら図星をつかれて、気まずく目を逸らす。
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