13407人が本棚に入れています
本棚に追加
********
「中山、お前一度、和田の家を訪ねてくれないか?
あいつ、電話しても出ないんだよ」
部長からそう言われたのは、クリニックに定められたフーナーテストの前日だった。
つまり、今日は子作りを実行しなければならない日で。
文ちゃんにはいつもより早く帰ると約束したものの、心や体の方は相変わらず反応が薄いままで、このところ禁欲を命じられているせいか、余計に、成功させる自信が持てないでいた。
「……今日、ですか?」
「んーもう、1週間連絡がつかなくてな。和田、辞めるとき様子がおかしかっただろ?労災も認定出来そうにないし、なんだか気になってな。
俺も行きたいんだが、明後日からの出張を前に会議がたてこんでるから、出来れば早めに、お願いしたいんだが」
最初のコメントを投稿しよう!