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「……そうですね。分かりました」
和田のことはずっと気にはなっていたし、部長の心配も分かるから、俺は了承して仕事帰りに和田の家に寄ることにした。
離婚後、和田が移り住んだ住居は、築年数の経ったセキュリティが甘く、古びた印象の安アパートだった。
インターフォンを鳴らしてしばらく待っても返事はなく、俺はどうしたものかとドアの前で立ち尽くした。
単に出掛けているだけかもしれない。
でも、和田は鬱状態の独り暮らしで、連絡も1週間途絶えている。
中で倒れていたり、下手したら命を絶っている可能性がないとは言えなくて、俺は所々錆びた鉄製のドアを拳で叩いた。
「和田、いるか?」
ドンドンと何度か繰り返す。静まり返った気配に嫌な予感を募らせながら、恐る恐るドアノブに手を伸ばした。
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