隣に眠るキミがいない《コミカライズ&TVドラマ化》

告白

（連絡先、聞き忘れたっ！)

ダンっと強めにカーソルを叩くと、丁度、
後ろを歩いていた部長が軽く飛び上がった。

「おお、中山、なんだトラブルか？」

「いえ、全く問題ありません。順調そのものです」

にっこりと笑顔で振り返って否定し、パソコンに向き直り仕事を再開する。

（会話することに集中しすぎて、肝心なことを忘れるなんて。どんだけ逆上(のぼ)せてたんだよ、アホすぎるだろ、俺！)

パチパチパチパチと高速でタイピングして文章を作成し、カチッカチッカチッカチッ、マウスを使って試算表を作り上げていく、怒濤(どとう)の勢いで作成し終わった書面を見ながら、はあっと、再び溜め息をつくと、

「中山。そんなに焦らなくても、提出は明日で大丈夫だからな」

なぜか再び寄ってきた部長に肩を叩かれ、妙に気遣われた。