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晴れて付き合いだした俺達は、何事もなく順調に……と、言いたいところだが、
「え?来週も会えないの?」
それなりの問題を抱えてはいた。
『うん。ごめんなさい。お祖母ちゃんの調子があんまりよくなくて、ついていてあげないといけないの』
電話の向こうの文ちゃんの声が、暗く沈む。
「……そっか。病院の先生はなんて?」
『う、ん。……昨日お話があって、もって、あと数ヶ月じゃないかって』
少し前に彼女のお祖母さんが倒れ、バタバタとご両親が離婚したのは、つい先日のことだ。
そこから、お祖母さんの体調はますます悪化し、文ちゃんもデートどころじゃなくなった。
「もし、迷惑じゃないなら俺も一緒に病院に……」
『個室じゃないし、女性ばっかりの病室なの。和真が来ても多分退屈だと思うから。気にしないで』
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