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僕らは恐る恐る一階の捜索を終わらせ二階に上がり
佐々岡の名前を何度か呼ぶが返事は無い
駆け出していった新井も戻ってこなかった…
不安と緊張が交差するなか重い空気が流れる
「佐々岡さん何かあったのかな?もしかして化け物に…」
菊池が今にも泣きそうな顔を浮かべる
「大丈夫だよ!化け物なんて、こいつの見間違いだって
それに霊だろうが化け物だろうが
実際に人を襲うなんて映画の中の話だけさ。普通は脅かすだけだから…」
松山は笑っておどけてみせたが 顔はひきつっている
あれは見間違いだったのか…そうあってほしいが…
もし本物だとしたら例の噂の化け物だろうか?
たしかに霊を見たという人が襲われたなんて話は聞いた事はないが…
佐々岡が消えている事に一抹の不安を感じていた。
窓ガラスがこぼれる月明かりだけを頼りに
二階の教室などを覗きこむなか
急に松山が立ち止まり
何をを指差し固まっていた
僕と菊池がその指差す方に目をやると
僕がみたヤツが立っていた…
全身黒のラバーで顔は醜く爛れ
手にはナイフが握られている
「アアアアア」
と異常な奇声をあげるとヤツはコチラに向かってきた
「にげ…」
僕らは 言葉にすらならない悲鳴をあげ後ろを振り向くと走り出した
足に力が入らずヘナヘナになりながら引き返し階段を転げ落ちると
僕と松山は目を合わせ ヤバいヤバいと叫び逃げようと声を合わせた
佐々岡や新井なんかに構ってられない
今はこっから逃げだす方が先だ
菊池はもうボロボロに泣いていた 気遣う余裕すらなく
彼女の手を掴み 強引に引っ張り昇降口を目指し駆け出すと
二階にいたはずのヤツが立っていた。
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