ラビリンス

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僕らは物音をたてずに通路を進み 先程とは別の階段から降り慎重に昇降口に近づいていった ヤツの姿は見えない 松山は無事に逃げ切ったのか? 佐々岡もヤツに襲われたのか?… そんな考えが廻るなか今さらだが 菊池と手を自然と繋いでいる事に気づいた 彼女に頼られているし 守っているんだ… 不謹慎だがこの状況をチャンスに変えよう ここを逃げ出したら僕の気持ちを彼女に… そんな浮わついた気持ちを隠したまま足早に警戒しながら進むと 昇降口付近にヤツがいた! 腕組みして壁にもたれている 近くの通路に体を隠し様子を伺いゴクリと生唾を呑み込み 菊池を振り返り「行くよ」と声をかけ手を強く握り 僕らは駆け出していった 虚をつかれたヤツは慌てたように手を伸ばすが届いてない よし 逃げれる!僕は昇降口の扉を押し外の景色が目に広がった 日常に戻れる…そして彼女と… 木漏れ日がこぼれる教室のなかで菊池と笑いあってるのを想像していると 暗闇が広がり突然腹に激痛がはしった 息ができないほど揉んどりうって転がり 苦しむ目で顔をあげるとヤツがたっていた どうやら外に出た直後にヤツに前蹴りを喰らったようだ しかし…なぜ?と苦痛しながら後ろを振り向くと 昇降口にいたヤツが小走りで近よってきた 二人いたのか? …彼女だけでも逃がさないと… 這いつくばりながら何とか立ち上がろうとしたが 菊池は僕の腹に一撃くわらしたもう一人のヤツに 後ろから羽交い締めされ捕らわれる光景が目にはいる 悲鳴をあげ小さな体で足をバタバタさせてはいるが 逃げれそうもない そうこうしている間に もう一人のヤツが僕らの前にきてしまっていた
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