天使のドアホン

12/19
前へ
/19ページ
次へ
三春はいつも明るくて無邪気な性格をしている。誰にでも優しくて、前まで将来の夢は、私と同じで小学校の先生だというくらいだ。ただひとつある彼女の欠点は、自己肯定感が低くて、自分のことを犠牲にしてまで他人を助けようとするところだ。 こんなに明るい彼女に、どうしてそんな暗い心があるのかと疑問に思う。 「就職は、してるのよね?」 「……うん。まぁ、今度から別のとこに行くことになったけど」 「安定しないわね……ちゃんと落ち着かないと、幸せな生活なんて送れないわよ?」 「あはは……確かに」 三春は頭を掻きながら、苦笑いを浮かべたが、すぐに改まって私を見つめた。 「私さ、実は絵美里と似てるとこがあるって、思ってたんだ。どうしてだと思う?」 「何よいきなり……全然似てないわよ」 「違うよ。私も絵美里も、自分のことがおざなりになってるんだ。自分よりも他の人を優先してしまう。だから、ストレスも抱えやすいんだ」 急に、冷たい手で心臓を掴まれた気分だった。 なぜ私のことがわかるの……そう問い詰めたいのに、別の言葉が飛び出した。 「そんなこと……」 「そのうち、絵美里は耐えられなくなるよ。そして、自殺をする。絵美里は自分が思ってるよりも、弱いんだ。私は、絵美里に死んでほしくないよ」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加