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両手が動かない。さっきまでは普通に動いていたのに、言うことを聞かない。それに、なんだろう。この痛みは。
両腕から伝わってくる、鋭い痛みは。
「でも……仕事があるし、先輩とか、同期とかも頑張ってるし……私も、頑張らないと……」
「絵美里。困った時は、誰かに頼っていいんだよ。逃げたっていいんだよ。絵美里はこれ以上、優しい嘘をついちゃ駄目。自分に正直になって」
「……でも」
「大丈夫だよ。安心して」
三春が、私の両腕を撫でてきた。
壊れたおもちゃを撫でるように、慈しみを込めて、静かに、そっと。
「絵美里は、優しくて、良い子なんだから……」
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