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三春の手が、血に染まっている。
──いや、違う。これは、私の血だ。
私が切り刻んだ、醜い痕跡だ。
「私みたいになっちゃだめ。生きて。絵美里」
辺りが真っ白な光に包まれた。
雪に日光が反射したときのような輝きが、私の部屋を、リストカットでボロボロになった両腕を、優しく抱きしめている三春を、何もかもを照らしていく。
同時に、ガラスが砕けるような音が轟いた。
「……あぁ、そっか」
部屋中から、亀裂が入る音が聞こえてきて、私の世界の全てが壊れていく。そのとき、私はようやく全てを理解して。
そっと、目を開いた。
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