天使のドアホン

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私は、やっと目覚めた。 私が座っていたのは、布団の上なんかじゃない。 白い壁で覆われた、ベッドの上だったんだ。 閃光が私の視界を覆ったあと、私の部屋は面影もなく消え去り、代わりに見たこともない白い個室が広がっていた。 「……宮崎! 聞こえるか!? 宮崎!」 「絵美里ちゃん! 返事をして! 絵美里ちゃん!」 「頑張れ! 頑張れ! 絵美里さん!!」 だんだん、聞こえてくる。私の名前を呼ぶ声が、遠くから近づいてきているように。 顔を左右に動かすと、そこには高校や大学の頃の友達が、今にも泣きそうな表情で私に様々な言葉を投げかけていた。 「……」 私は──心の部屋にいたんだ。 私を傷つけるような、辛くて嫌いな現実から目を背けて、心の部屋が現実なんだと、自分に錯覚させていたんだ。 あの日々は、夜は、全て、私の妄想──。 長い夢から目覚めた私の世界は、あらゆるものがぼやけて、ぼんやりとしている。 喉が渇いて、上手く声が出てこない。 枯れた井戸から一掬いの水を掻き出すように、私は喉に力を込めて、声を発した。
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