192人が本棚に入れています
本棚に追加
白い肌を淡い紅色に染めて、眞澄はうつむいてる。瞼の動きで世話しなく、躊躇い勝ちに視線が動いているのが判る。
―――もっと、欲張ればいいのに。
先に告白したのは眞澄だ。
それは、凄いことだ。
断られる怖さを、痛さを知っていて、こんなにも臆病な後輩が、自分から放ってきた言葉。
―――うわ。
それはどれだけの勇気を必要としたのだろう。
どれだけの覚悟を要したのだろう。
それでも、惑いながら告白してきたのは。
それだけ、
―――俺を好いてくれたからか。
思えば自惚れのようにも感じるが、寧ろ身が引き締まる。
無性に愛しさが増して、抱き締めたくなる。抱き締めて、口付けて、好きだって、言い聞かせたくなる。
「……いいよ」
そうするための口実に、眞澄の要望を受け入れる。
「え、」
「この間は俺が見たんだし、いずれお互い見るんだし」
思ってもいなかった許諾に眞澄が顔をあげて呆ける。その顔を尻目に、カップを煽って麦茶を飲み干した。まだ、喉が渇いているような気がした。
抱き締めて、キスをする口実にチンコ見せるってなんかシュールだな。
「これじゃ、見せにくいから」
飲みかけの麦茶。揃えられた教科書。載せたまま座卓を持ち上げて部屋の脇に避ける。
正座したままの眞澄が、腿の上できゅっと拳を握っている。
「こっち、おいで」
優しい顔作って差し出した手に、その拳が開いて、応える。
最初のコメントを投稿しよう!