キス、の効能。

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 白い肌を淡い紅色に染めて、眞澄はうつむいてる。瞼の動きで世話しなく、躊躇い勝ちに視線が動いているのが判る。  ―――もっと、欲張ればいいのに。  先に告白したのは眞澄だ。  それは、凄いことだ。  断られる怖さを、痛さを知っていて、こんなにも臆病な後輩が、自分から放ってきた言葉。  ―――うわ。  それはどれだけの勇気を必要としたのだろう。  どれだけの覚悟を要したのだろう。  それでも、惑いながら告白してきたのは。  それだけ、  ―――俺を好いてくれたからか。  思えば自惚れのようにも感じるが、寧ろ身が引き締まる。  無性に愛しさが増して、抱き締めたくなる。抱き締めて、口付けて、好きだって、言い聞かせたくなる。  「……いいよ」  そうするための口実に、眞澄の要望を受け入れる。  「え、」  「この間は俺が見たんだし、いずれお互い見るんだし」  思ってもいなかった許諾に眞澄が顔をあげて呆ける。その顔を尻目に、カップを煽って麦茶を飲み干した。まだ、喉が渇いているような気がした。  抱き締めて、キスをする口実にチンコ見せるってなんかシュールだな。  「これじゃ、見せにくいから」  飲みかけの麦茶。揃えられた教科書。載せたまま座卓を持ち上げて部屋の脇に避ける。  正座したままの眞澄が、腿の上できゅっと拳を握っている。  「こっち、おいで」  優しい顔作って差し出した手に、その拳が開いて、応える。
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