キス、の効能。

10/11
前へ
/156ページ
次へ
 ベッドの端に腰掛けて、目の前に眞澄を立たせた。普段見上げてくる顔が、今は啓太を見下ろしながら緊張してる。  唇が少し尖って、顔が赤い。  ―――これでレツジョー抱くなって言う方が無理。  腰掛けた啓太じゃ、眞澄から身を屈めてくれないとキスができない。先にすべきだったと思いながら、細い腰を抱き寄せる。   「あ。」  間の抜けた声を吐き出した唇が、きゅっと結ばれて、解ける。  「あの、」  「キスがしたい」  強請る声で、眞澄の腰から、背中に指を滑らせる。ひくと、背中が震えた。  「眞澄は?」  誘導して問うとまた唇が結ばれて、小さくうなずく。  こんなにも、簡単なこと。  求めるなら、なんでもしてやるのに。  唇が近付く。  少し、背筋を伸ばせば、眞澄の方から近付いてくる。啓太は口を開いて、舌を差し出す。柔い唇に舌先が触れる。  ひくん。と、抱いた腰が震える。  「座って」  足の間に、膝をつかせる。膝立ちの目線が、かっちりと合う。  「どんなキスがいい?」  髪を撫でて、問う。茶色いネコっ毛が柔らかく指に絡み付く。爪先で耳の後ろに触れる。  「んっ。」  鼻先に舌で触れる。触れて、そっと、外して、唇に唇を押し付けて、離す。  「こんなのと、」  唇に息がかする。眞澄の唇が物足りなそうに開く、そこに舌を差し入れる。  「ンぅ、」  項を引き寄せて、更に奥に忍ばせる。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加