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躊躇っていた小さな舌が応えてちろりと啓太の舌を舐める。それを吸い上げて自分の口に招き、柔く噛んでやる。身動ぐ躯を両腕に閉じ込める。舌を舌で擦って、裏までなぜる。口蓋を擽ると眞澄が震える。
舌と舌の先、てろりと唾液が糸を引いた。
「……こっち、と」
どっちがしたい?
キスだけで蕩けた目が酸欠を物語る。正常な判断も遠慮も建前も全部取り払われた本能が眞澄を支配してる。
「……りょーほー」
唾液に照る唇を舌がなぞる。
「さわるだけのも、えっちなのも、したい、」
はふと、熱い呼気が肌に触れる。
「ん。判った」
頬に唇で触れる。柔らかい感触に熱が籠ってる。
もっと簡単に甘えて要求して依存すればいい。
首筋にキスをする。シャツの裾から手を滑らせる。少し汗ばんだ肌が掌に吸い付く。
「せん、ぱ……んっ」
焦った声。
触りたいと思っているのは眞澄だけじゃない。細いウエストに指を添わせると、脇腹が逃げる。あいかわらずの中学ジャージ。シャツの上から臍に口付ける。
―――参った。
我が儘を言って欲しいと思いながら、自分の欲が先行する。
キスなんてしたら、そうなるに決まっているのに、したくなってしまう。
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