虎、馬る。

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 「あの、俺も、先輩の、見たい、です。だから、」  心音がまた上昇する。でも、多分、素直な言葉を口にしても、ちゃんと。  「ん、そういう約束だもんな」  少しはにかみながら笑って応える声がする。少し体を離して、自分から啓太の唇に自分の唇を重ねてみた。乾いていると思ってた唇はちょっと湿ってて、そう言えばさっきまでエロいキスをしてたんだって思い出したら、また少し恥ずかしくなった。  「俺が出す?」  言いながら頬に指先が触れる。その指がさっきまで、自分の乳首に触れていたと思うと、あのぞくぞくでまた体が震えた。  「いや、おれ、」  俺も、  「俺が、シテもいいですか」  触ってみたい。  見るだけじゃなくて、触ってみたい。  先輩に触られて自分のが膨らんで、変わってしまったみたいに、先輩も、変わるんだろうか。あの、屋上のときみたいに。あるいは、それより、もっと、はっきりと。  溜飲の音がした。  真っ赤な顔の先輩が眞澄を見ていた。  「あ、の、」  釣られていっそう顔が熱くなる。  「いや、うん、判った。」  先輩の大きな掌が口許を覆っている。照れた顔を隠すしぐさ。体が離れてキャスタに捻れる。引き出しを開けて、取り出されたもの。  「直で触んの、抵抗あるだろ?」  逸らされた目線のまま差し出されたコンドーム。  ビニルの小さな四角を目の前に当惑する。  「どうやって、つければいいですか……?」  あまりに無知な自分が恥ずかしくなるけど、啓太が差し出してきたと言うことは、啓太はその使い方を知っていると言うことなのだろう。
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