虎、馬る。

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 びくんと啓太の体が跳ねて腰が引ける。それと同時に、パッと手を引いた。  「思いきりは、止めてくれ」  「は、はい」  涙目で苦笑いしながら呟いた啓太の股間から目が離せなくなる。  掌に、余った感覚。まだ柔い肉の弾力。  ―――これ、って、  自分の掌を見つめる。  長尺バット  翔太の言葉が耳の奥で聞こえた気がした。  ―――長尺バットって、  身を屈めて上から啓太の股の間を見下ろした。少し布が持ち上がっていて、膨らんでいるのが判る。  「っ……」  そっと、その山に手を置いてみる。下で確かに拍動するものがある。  ―――掌で、余るって、  眞澄の掌は決して小さい方じゃない。  ピアノをやっていたことも相まってバスケットボールも片手で掴める。  それでも、余ると言うことは。  口の中に溜まってきた唾液を飲み込むと、こくりと音がなった。  ウエストに指を引っ掻ける。引き下ろすのに、引っ掛かりを感じる。  「ますみ、」  短い髪に熱い息かかかって顔をあげた。  ―――ぅあ、  きゅぅぅぅぅっ、と、心臓が縮んだ。息ができなくなるくらい、胸がつまる。  潜められた眉に、いつもより狭くなった目と眉の間。たっぷりの水を含んだ目。  「あ。」  強い腕が、眞澄を包み込んだ。
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