虎、馬る。

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 零れ出たソレから目をそらすことができない。すでに視線だけで確認する、とかそんな時限は越えていて、顔を向けてじっと、観察してしまう。  まだ、完全に立ち上がっているわけじゃなくて、でも、少し先が濡れてる。黒い下生えの真ん中からにゅっと肌色のつるんとした毛のない竿が生えている。その長い筒は太さをあまり変えないまま伸びていて、先のほうはまだ少し、皮が撓んでいた。  「ちょ、ますみ、見すぎ。」  だって見て良いって言われたから、言われたし、言われた、けど。  「すみま、せ、」  確かに見すぎで、しっかり観察してしまった自分が恥ずかしくて両手で顔を覆った。さっきまでその手が、今見たものに触れていたのだと思うと、また一層恥ずかしさが増してきて顔も、首も胸も熱くなる。自分も同じものがついている。  同じもの。  本当に?  「やっぱり、」  顔を覆っていた掌、手首を捕まれて剥がされる。目の前に迫った啓太の目が苦しげに細められたままで切実に訴えかけてくる。  「触るの、抵抗ある?」  その目が、何を求めているのかわかる。ぎゅっと心臓が小さくなった。甘えるような声色でそんな風に言われたら、何だってしてしまいそうだ。  小さく頭を振って唾液を飲んだ。掴まれたままの手が、導かれて啓太のモノに触れる。  ひくと、啓太の肩が揺れる。滑らかな竿の長いところに指で触れる。啓太が短い息を漏らすのが判る。3本の指を伸ばして、包む。啓太が唾液を嚥下する音が聞こえた。  「ッ」  「強い、ですか?」  「いや、もっと強くていい」   腕が、再び背中に回されて強く抱きこまれる。首筋の匂い。実際にそのモノは見えなくなっても手に触れる脈拍がはっきり伝わってくる。包み込む体が熱い。深く呼吸するのが聞こえる。握る力を強くすると、啓太の腕も強くなる。こんなに強く抱きこまれたら、手元を見ることも出来ない。でも、段々手の中で質量を増してくる。啓太の腰が控えめに、揺れてくる。  ―――うわ、  深かった息が、浅くなってくる。
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