虎、馬る。

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 思った以上に頭が回らない。何か話していないと暴走しそうででも、口を開いたらどうしようもない剥き出しの欲望を口走ってしまいそうで、啓太はそれきり唇をかみ締めた。  眞澄が自分のに触れてる、それだけで。  いや、だけ、じゃない。一番、自分の欲望を象徴する場所に触れられてる。そんなん、理性が利くはずがない。はすがないのに。 ―――耐えろ。  ここで欲望のままになんてなったら、多分もう取り返しなんてつかない。  触りたい。触りたい。触りたい。  組み伏せて唇に触れて、指でかき混ぜて、別の場所も。濡れない場所ならローションでも何でも使って、暴れるなら押さえつけて。中に指を付き立てて抉って、ほぐして、自分が挿入(はい)れるように。  「先輩、」  目の前で眞澄は小さく首を傾ぐ。潤んだ目で、上気した目元で。白い頬がぼんやりと朱に染まる。  荒くなる息を押さえつける。興奮で体が震える。飛び掛りたい。怯えさせたくない。触りたい。釣られ勃起してるなんて言われたら箍が軋む。ギリギリで耐えているものが弾ける。  「でも、」  これ以上、その顔を見ていたら、どうにかなってしまいそうで。どうにでも、してしまいそうで。顔を見るために取った距離を包む腕でゼロにする。首筋に眞澄の息かかかる。  ―――堪らない。  「喋らないで」  「ぅあ!」  指でジャージのウエストを引っ張る。眞澄の息が詰まる。白い薄い皮膚が引き連れる。下腹のひんやりした体温。その奥の熱。  「ン、」  指で掬う。下着に押さえつけられていた白い茎が頭を持ち上げて掌に収まる。それは小さな生き物のように震えている。連鎖反応のように啓太の肩に額を預けた眞澄も震えている。二の腕にしがみつく存外大きな手が震えている。  「眞澄も、結構限界だった?」  先端がとろとろと蜜をたらして、苦しげに喘いでいた。口を開閉するたびに蜜は漏れて先端のつるりとした粘膜を潤わせる。胡坐をかいた腰をずり寄せる。言葉を吐き出せば胸が落ち着いてくる。飛び掛りたい衝動を飼い馴らせる。  まだ少し残った包皮をゆっくりと下ろす。撓んだ皮膚が茎に寄り完全に露出した先端を指の腹で撫でる。  「ん、ひっ」  高い声が耳の近くで弾けた。ウエストからはみ出した腰骨の窪みが誘うように陰を作っている。
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