4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「ん~~~!! この甘じょっぱさが美味しい! あ……あの、先輩。先輩に聞きたいことがあるんです」
「うん? 何かな」
「わたしだけ名前で呼んでもらってるじゃないですか~。先輩って言うのもいいんですけど、お名前で呼びたいな、と」
「あれ? 教えてなかったっけ。ごめんね、俺は三家成希。いつも買ってくれてるおはぎの包装紙見てない? 三家のおはぎって結構有名なんだ」
「えっと、成希せんぱいって呼んでもいいですか?」
「うん、よろしくね桜月さん」
いつも買っていたのにちっとも見ていなかったなんて、何だか恥ずかしいな。
それでもわたしは、名前が聞けたことに物凄く感動しながら、みたらし団子を美味しくいただいた。
「桜月さんは本当に美味しそうに食べるよね」
「だって美味しいんですよ? 笑顔が出るのは当たり前なんです」
「うん。桜月さんさえよかったらさ、今度はケーキでも食べようか?」
「ホントですか!? わたし、ケーキ屋さんも常連なんです。成希せんぱいとはこうやって、和菓子の三家で出会えましたけどね~」
「そっか、桜月さんは甘いもの屋さんが顔見知りなんだね(出会えて良かった)」
「え?」
「ううん、何でもないよ」
和菓子屋さんだからこそせんぱいに出会えたのかもしれない。幸せな時間と甘い時間が過ごせるなんて思わなかったなあ。
今度は、ケーキ屋さんでせんぱいと会うなんて、きっとせんぱいも甘いものが好きなんだね。わたしと一緒だなんて、何だか嬉しいな。
「ん~~! 舌と口中に粘りある草餅がいつまでも味わえて、食べたあとにほんのりと鼻に香ってくる笹の葉の香りが、とても好きです!」
「ありがとう、桜月さん」
成希せんぱいがわたしにお礼を言ってくれたけど、わたしもこんなに美味しいお餅に出会えて嬉しいです。もっと、甘いものに出会いつつ、成希せんぱいと仲良くなりたいな。
最初のコメントを投稿しよう!