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「ごめん、遅れた!」
「遅いから先に始めてたよ~」
仕事を終えて
私の唯一の友達である
美月が待つ居酒屋へと遅れて行けば
待ちきれずにどうやら彼女は
ひとり始めていたようですでに出来上がっていた。
「まーた、残業?」
「そう」
手渡された
おしぼりで手を拭きながら
とりあえず、生ビールを注文する。
「部下たちにも手伝ってもらえば?アンタひとりの仕事じゃないんだし。」
「そうなんだけど……。可哀想じゃない、残業させたら……」
それでなくても
きっと私は
他の部署の主任と違って
社員たちのことを
倍、こき使ってると思うし
私が主任だからということで
色々と気苦労や我慢をさせてると思うから……
「姫乃は、本当、そういうところ昔からお人好しよね」
頼んだ
生ビールが運ばれて来て
私は
メガネを外し
冷たくキンキンに
冷えた生ビールを喉へと流し込む。
「その、伊達眼鏡も未だに健在だし?」
「これは、私にとって……自分を見失わないための大切なモノだから……」
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