枯れ姫と小生意気なキミ

11/15
前へ
/219ページ
次へ
* 「ごめん、遅れた!」 「遅いから先に始めてたよ~」 仕事を終えて 私の唯一の友達である 美月が待つ居酒屋へと遅れて行けば 待ちきれずにどうやら彼女は ひとり始めていたようですでに出来上がっていた。 「まーた、残業?」 「そう」 手渡された おしぼりで手を拭きながら とりあえず、生ビールを注文する。 「部下たちにも手伝ってもらえば?アンタひとりの仕事じゃないんだし。」 「そうなんだけど……。可哀想じゃない、残業させたら……」 それでなくても きっと私は 他の部署の主任と違って 社員たちのことを 倍、こき使ってると思うし 私が主任だからということで 色々と気苦労や我慢をさせてると思うから…… 「姫乃は、本当、そういうところ昔からお人好しよね」 頼んだ 生ビールが運ばれて来て 私は メガネを外し 冷たくキンキンに 冷えた生ビールを喉へと流し込む。 「その、伊達眼鏡も未だに健在だし?」 「これは、私にとって……自分を見失わないための大切なモノだから……」 .
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

331人が本棚に入れています
本棚に追加