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「……全然。それに、残念ながら今の私は、仕事が恋人みたいなものだから」
相変わらず
鋭い感を
お持ちの美月を横目に
私はおつまみに箸を伸ばす。
「……勿体無いよ、姫乃」
「え?」
「あんな、最低なヤツのせいで……姫乃、悪くないのに……」
さっきまで
テンション高めで
楽しそうに笑顔でビールを
飲んでいた美月の瞳には涙が浮かんでいた。
「……ありがとう、美月。でも私は、大丈夫だから。今の状況に、文句なんてないしね」
「でもでも、やっぱり勿体無いよ~!姫乃、美人で、こんなにもいい子なのに~」
「はいはい、ありがとう。」
滝のような
涙を流しながら
なぜか
自分のことのように
悲しみ泣いている
美月の頭を撫でながら彼女を泣き止ませる。
たしかに
あの日の
出来事のせいで
私の人生は変わってしまった。
でも
だからといって
私は今の状況になんの不満はない。
ただただ
今の私が思うことは
……彼と
私をバカにする人たちのことを
あっ、と言わせて見返してやりたいだけ……
「……ひめのぉ~」
「もう、美月ってば飲み過ぎ!ほら、もう帰ろう?」
「やだ、やだー!まだ、飲むー!!」
「はぁ、仕方ない……」
ポケットから
スマホを取り出し
私はある人物へと電話をかけた。
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