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そこにいた。
悲しかったの
あなたの姿がみえなくなって
もう二度と
そのあたたかな声は 空気に響かず
もう二度と
その優しい眼差しは
この美しい世界を
見ることはないのだとおもうと
悲しかったの
「わたしは 何処へも行かない」
「わたしは 何処にでもいる」
目の前に咲き誇る
あなたが愛した景色
今年もその枝を広げ
薄紅色のはなびらを背負い
わたしの頭上に覆いかぶさって
静かに、咲き誇る
そこにいた。
今年もまた
あいも変わらず
世界は春爛漫
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