月見酒
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「婆さん……」 老人はベッドの上で手紙を開げた。 『あなたと一緒になって、もう五十年が経ちますね。 記念日がこんなに騒々しい日になるなんて、結婚当初は思いもしませんでした』 記念日は、世間ではクリスマス・イブ。 『五十周年とクリスマスプレゼントを兼ねて、あなたが以前から欲しがっていた幻のお酒を用意しました。 退院されました、庭の桜の木の下で月を眺めながら一緒に呑みましょう』
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