空き地

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私立平ヶ丘高等学校。 三つ向こうの駅にある、偏差値70越えの進学校だ。 前に用事があってお母さんとそばを通りかかった時に見た、濃紺に白のラインが二本、同じく白いスカーフで凛々しくまとまったデザインのセーラー服が長い間憧れだった。 小学校の時からずっと勉強が得意でどの科目も勉強すればするだけ点数が上がったし、人に「教えて!」と頼まれる事も多かった。 高学年に上がるのと同時にお願いして塾にも通わせてもらい、中学生になって本格的なテストが始まってからも学年10位以内の成績を保ち続け、合格のための努力を欠かさなかった。 志望動機はセーラー服だけじゃない。平ヶ丘はこのあたりで一番の進学校だ。入ってから大学進学までの対応が手厚く、有名な大学に進んだ人が何人もいる。 私がまだ小さい頃お父さんが亡くなり、うちは母子家庭だ。超ビンボーって訳じゃないけど、お母さんは昼も夜も働き、節約しながら家事もやっている。 良い成績を取って良い高校、良い大学に進んで立派な仕事ができる人になって、いっぱい楽させてあげたかった。
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