空き地

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あの後すぐ友達の由佳や亜希たちと一緒に喜びを分かち合うはずだった。由佳の家で合格証書を見せ合って、料理上手な由佳のお母さんが作った料理とケーキを食べて、みんなでお祝いする予定だったのに……。 やまない雪で髪や服が濡れた状態で帰宅してすぐ、お母さんが由佳の家に電話して私がお祝いに行けないのを伝えていた。 落ちたと知ったみんなからはなぐさめや励ましの言葉をたくさんもらった。 「だって平ヶ丘だもん!しょうがないよ」 「そうそう!愛理でもダメって事は平ヶ丘がヤバ過ぎたんだよ。今年は倍率も高かったらしいし」 「すべりどめ、大河女子高校でしょ?あそこも偏差値高いよねー。愛理にはまだたくさん選択肢があるんだから、大丈夫」 男子たちや塾の先生も、馬鹿にしたり嘆いたりしないでいてくれた。 けど、どんな言葉をもらっても私の心は晴れなかった。 すべりどめに選んだ大河女子高校も偏差値が高くて評判も良いけど、平ヶ丘ほどじゃない。 必ず受かって見せるつもりでいたから、すべりどめの高校に通うなんて選択肢がそもそもなかった。 大河の制服もセーラー服だ。平ヶ丘みたいな凛々しいやつじゃない、明るさ重視って感じのやつ。 白地に群青色の襟と赤いリボンの色合いは学園ドラマみたいで可愛いじゃんって由佳たちに言われたけど、私が憧れていたのはこれじゃない。 すべって行きついた学校だと思うと気力がわかなくて、勉強はしっかりするけど前ほど充実感を持って取り組めなくなった。 入学してから誰にも喋りかけた事ないけど、幸いいじめられたりはしなかった。女子校ならではの空気感なのか、一緒に行動する友達もいるし、大人しくて物静かなキャラとして教室に溶け込めている。
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