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「……そうですか」と、女性警官が言いながら振り返り、俺の顔を見た。
「あの!」
俺は我慢ならず、発言すると。
「任せて!」と、女性警官にストップかけかれる。
「こちらの少年のご両親が、昨夜から連絡が取れないんです。東海林 夏鈴さんと晴馬さんというんですが。お母様の旧姓が波戸崎と言うそうなんです」
「…波戸崎様??」
修道女らしき女性が気味の悪い笑顔をやめ、驚いた顔で俺を見た。
「波戸崎って名前、知ってますね?」
「……ええ、まぁ。波戸崎様なら、こちらのご主人様と同じ苗字です。
探し人がご親戚の方なら、私は把握しておりません。申し訳ありません」
そう言うと、彼女はおそるおそる俺を観察している。
「……千歳様に……ご主人様の若い頃に似ていらっしゃいますね。そちらの方」
「そのご主人には会えませんか?」
女性警官の問いに、修道女らしき女性は「聞いてみないとわかりません。少しお待ち下さい」と言い残して、さっき来た方向に小走りで戻って行った。
「……あの。あなたはここに来るの初めてじゃないですよね?」
俺の問いに、女性警官はギョッとしたように見えた。
「……そうね。前にも来たわよ。一度だけだけど」
「その時は、どんな要件で?」
女性警官は取り繕ったような笑顔で「私用で、よ。さっきの女性、その時に合ってるけど制服着ていると気付かれないの。珍しいことじゃないわ」と、言った。
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